性の多様性と、制服の問題とは。

 

「LGBT」という言葉を、ご存知の方も多いと思います。LGBTとは、L=レズビアン、G=ゲイ、B=バイセクシュアル、T=トランスジェンダーで、それぞれ頭文字をとったものです。しかし、現在ではより適切な語として「SOGI」つまり「性的指向及び性自認」という語が用いられることもあります。

ここ数年、学校教育の現場でも「性の多様性」に関連する動きが見られます。今回はそちらをご紹介しようと思います。

まず、過日、同じ福岡県筑後地方のみやま市で、「3校の小学校統合で来年4月に新たに開校する瀬高小学校では、性的少数者の児童の性自認に配慮して性別に関係なく半ズボン、スカートのどちらを選んでもよい標準服(制服)の導入を決定した。」という発表がなされました。みやま市では性的少数者への理解を深める教育に力を入れていて、今回の標準服導入の決定については、3校の校長の1人が『性自認』が一致しない方から『心の性と合わない制服を着るのが一番苦痛だった』と聞いたことがあり、配慮するべきだと考え、提言したことがきっかけとのことでした。メディア等でも取り上げられました(関連記事⇒こちら)。

性の多様性と制服の問題ですが、性的少数者の中には、「自認する性」と異なる性を前提としたものを強制的に選ばされ、着用させられることが「苦痛」「嫌」というような気持ちを持つ方がいるという現状が有ります。例えば、生まれた時の性が男性、「性自認も男性」という方がスカートを履かされたら、おそらく「恥ずかしい」と考えると思います。性的少数者の方は「苦痛」「嫌」「恥ずかしい」と思うことを教育現場でオフィシャルに強要されているのです。
情報の少なかったかつての時代に戻ってはいけません。「人口の数パーセントは性的少数者である」という現実を踏まえ、このような痛みを持ち続けている子どもたちがいるであろうことを、私たち大人も想像し、考えていかねばならないと思います。

ちなみに、制服は法令等で決められているわけではなく、正確には「標準服」です。そこで、「選択制」ではなく「申告制」にして個別対応すれば十分ではないかと考える人もいるかと思います。こちらについては、福岡市や北九州市などの動きを参考にご紹介しましょう(関連記事⇒こちら)。いくつかの中学校で、採用されている標準服を男女に関係なく、ズボン、キュロット、スカートのいずれを着るか選べる方式に変更されるそうです。早いところでは2020年から変更になります。「動きやすさ」や「寒暖への対応」のほか、自身の性自認などに合わせて選べるようになるということです。複合的な理由が提示されているので、「アウティング」を排除できるようにしています。同調圧力がまだまだ強い日本社会では、声をあげること自体が難しく、性的指向・性自認によって生きづらさを感じている性的少数者も大勢います。過去、アウティングにより当事者が亡くなった悲しい事例などもあります。

個別対応することは言わば「応急的な処置」です。果たして、これからはそれが充分な対応と言えるのでしょうか。子ども自身が選ぶために、彼らが考える力を身につけることのできる方法を周囲の大人が考え、多様性を担保出来る制度設計をしていくことが、子どもの成長、そして性の多様性に対する社会全体への認知の広がりにつながるように感じます。

 

※教育の現場について ⇒ 文部科学省より2016年教職員向けに「性同一性障害や性的指向・性自認に係る、児童生徒に対するきめ細かな対応等の実施について」という周知資料が発表されています。「制服への配慮」や 「他の児童生徒や保護者に対する秘匿」等についての状況調査がなされています。こちらも是非ご覧下さい。