~幸せでも、不幸でもないということ~

「あなたは幸せですか?」この問いに、「幸せでも、不幸でもない」と答えた人が一番多かった町があります。徳島県旧海部町です。この町は、自殺率の低い「自殺希少地域」と言われています。この町に注目して、「自殺予防因子」の調査・研究をした岡檀(おか まゆみ)さんの著書に『生き心地の良いい町』があります。

この町は、江戸時代に移住者によって発展し、人の出入りの多い土地で、人間関係が膠着することなく、ゆるやかな絆が常態化しました。

町でみつけた、五つの自殺予防因子は、

①いろんな人がいてもよい、いろんな人がいた方がよい。(多様性)

②人物本位主義をつらぬく。(地位や学歴、家柄や財力にとらわれず、問題解決能力や人柄で人をみる)

③どうせ自分なんて、と考えない。(自己効力感を持つ)

④「病」は市に出せ。(悩みやトラブルを隠して耐えるより、早めに開示すれば、周囲が対処法を教えてくれる)※市はマーケット等のこと

⑤ゆるやかにつながる。(人間関係が固定しない)

こだわりを捨て、幸せでなくても、不幸でないことが重要であり、幸せを感じられなくなったときの対処の仕方が肝心です。「どうせ自分なんか」や「男だから」「女だから」と何気なく言ってしまうことは、子どもたちに影響し、知らず知らずのうちに刷り込まれます。そして、助けを求めることを恥ずかしいと思わないこと。

人々の意識は、歴史や地形にも影響されていて変えることは簡単なことではありません。しかし、相談室で「生きづらさ」を感じている方たちのお話を聴いていると、こんな「生き心地の良い町」になったらいいなあと感じています。

生き心地の良い町

この自殺率の低さには理由がある 

  • 著者: 岡檀/著
  • 出版者:東京:講談社
  • 出版年:2013.07
  • 請求記号:368.3 オカマ